第一部[メルヘン小人地獄]、第二部[毒杯パズル]の二部構成ミステリ。第八回鮎川哲也賞最終候補作。

問題は、誰が、何のために、ポットに毒を入れたか、である。という一文が第二部の冒頭にある。結論からいえば、本作の中心はこれである。犯人でも、トリックでもない。何のために毒を入れたか、である。

第一部、第二部とも、遺体を解剖しても毒の痕跡が全く発見されない、「小人地獄」と呼ばれる完全犯罪に理想的な毒薬が扱われる。

孤高の探偵、瀬川みゆきを始め、第一部、第二部とも、登場人物はほぼ同じである。中編を二編収めたような感じを受けるが、間違いなく二編で一本となる長編推理小説である。

不可解な事件を颯爽と自身満々に解決する名探偵。そのような探偵が小説では多数を占める。けれど、瀬川みゆきは、名探偵を辞めることが出来ず、続けなければならない。本作は、哀しい探偵小説である。(この話はちょっと悲しすぎるなあ。哀しすぎるよぉ)

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

日記内を検索