本書を藤子・F・不二雄先生に捧げる、という言葉通り、藤子作品を意識して書かれているのは確かだろう。

小学校6年生の男の子が、学校からの帰りに見つけた謎の博物館。そこで出会った少女は、ここは、ミュージアムを展示するミュージアムだと告げる。

少年は博物館に通い始めるようになる。やがて博物館が、歴史の中で失われた美術品や遺物、過去の博物館や遺跡を人工現実の技術で再現していること、極限までにリアルに空間を再現すると、その時代のその場所と<同調>し、タイムスリップしてしまうということを知る。

そして博物館に異変が発生し、1866年のエジプトに少年と少女は向かうことになり、冒険物語が始まる。

物語は藤子不二雄を彷彿させるが、それだけでは終わらない。文字、文章という媒体を使用した物語という枠組みを外した仕掛けが施されている。

冒険終了後の展開、少女の言葉は、藤子作品と同じく感動を与える。(というか、お約束だろうが、なんだろうが、僕自身、本を読んで泣きそうになったのは、本当に久し振りだった。やっぱり、少年少女の物語は良いなあ)

「ぼくだったら、絶対にこの小説はハッピーエンドにする。だから、きっと、どうにかなる」

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